Learning by doing  | いのちがめぐる暮らし

たねまき日記

世界の幸せとは何か。|バランスの取れたウェルビーイングな起業家精神が持続可能な社会に必要だ


たねまき日記|vol.3

taneto編集部での裏側やイベントなどの記録として、「たねまき日記」をはじめてみました。今回は編集長である私の個人的な活動について。壁にぶつかりつつtanetoと関連して色々進めてます…!

いざはじめてみたら、壁しかなかった


何かを新しく始めるって本当に大変。「tanetoは広告費で運営したくない」なんて言ってしまったもんだから、絶賛もがいてます。でも、学生時代より青春してる気がする。そんな青春気分の真っ最中、武蔵野大学の先生と企画会議を進めています。最近思うあれこれをつらつらと。

世界の幸せとは何か。

武蔵野大学で3学部合同の説明会がありました。この話題になぜ触れるのかというと、実は今年度、山梨総合研究所の特別研究員となりまして、武蔵野大学の白井先生と山梨県内で、地元学×コミュニティオーガナイジングの手法を掛け合わせた実践型講座を企画しています。気候危機の解決に向けて活動したい方に役立つ、日本の中でも先進的な事例のひとつになりそうでワクワクしているところ。


そんな中、説明会からたくさんの気づきをいただいたいて、あたらめてこの3つの重要性について感じたことを最近の自分の活動を合わせながらまとめたいなと。日記なのでつらつら綴ります。

前回の種まき日記でも記した通り、tanetoでも教育の分野にどう触れていくのか考えていて、県内でのオルタナティブ教育の推進状況や、取り組んでいる学校や保育園・幼稚園のリサーチ、どんなニーズがあって、何が課題なのかを調査しています。

そんな中で色々な方と出会い感じるのは、結局大切なのは「教育だよね」というところに行き着く人が大半で。それは何も子どもだけではなく、私たちも大人も学んでいく必要があるよねと。

環境問題や社会課題にフォーカスするとどうしてもネガティブな側面が多くて、問題提起する中で正しさから誰かや何かを攻撃したり。はたまたその苦しさ故に向き合えず、みてみぬフリをしてみたり。でも、そこにいる限りこの課題っていつまでもあり続けるし、分断も争いも終わらない。

だからこそ、自分の中でポジティブに変換しながら、課題解決に向けて「まずはやってみようぜ!」というアントレプレナーシップ(起業家精神)が、とても大切だと痛感しています。


「武蔵野大学の教員は、夢を笑わない」
楽しむことがポジティブな未来を創る

アントレプレナーシップ学部の学部長は「1分で話せ」の著者でもある、伊藤洋一先生。

そもそも「伝える」ために考えておくべきこと―起業家からビジネスパーソンまで年間300人以上のプレゼンを指導し、ピッチコンテストなどでの優勝者を続々と輩出しています。本書では、「右脳と左脳」に働きかける伊藤氏独特のメソッドを紹介


伊藤先生によると、アントレプレナーシップとは「高い志と倫理観に基づき、失敗を恐れずに踏み出し、新たな価値を創造していくマインド」とのこと。

起業するか否かに限らず、どんな業態であっても日本経済が停滞している失われた30年を乗り越える為には、新たな価値を創造していくということが必要であり、新たな価値を創造していくためには、失敗はつきもだよねと。

「イーロンマスクを超えたい」という学生がいても、街中で言ったら「なんか大丈夫?」みたいになるけれど、ここでは「OK!いいじゃん!」と肯定し、そんな夢を聞くなかで「え?イーロンマスクいいの?私キッチンカーやりたいだけなんだけど」と、夢を語る好循環に。気づけば寮生たちは夜な夜な夢を語りあっているのだとか。

そんな土台ができた1年目。「学部どうだった?」と聞くと、「最高です!」と返ってくる。何が最高だったのかと聞くと、みんなが口を揃えて「人の夢を笑わない。教員も学生もみんな人の夢を笑わない」と話していたそう。

世界の幸せをカタチにする
それが「武蔵野大学」

日本財団の新たな調査で、日本の将来が「良くなる」と答えた10代の子ども達は、15.3%という調査結果に。なんだか、社会を変えられないという重苦しい空気が漂っているような気がしますよね。 参考|日本財団「18歳意識調査」

インターネット元年といわれた95年から30年近く経ったいま、AmazonやFacebookのような大企業が育ったアメリカと日本の違いは「『よくわかんないけどこういうの作りたいんだ』って、作ったのがアメリカという国で、『そんな馬鹿なことできるわけねぇだろ、どうせ無理』といってきたのが日本。個人の妄想をカタチにすることができたかどうか。これが、アントレプレナーシップの差だと思ってます」と、伊藤先生。

何かにチェレンジしようと思った時に、「成功することが全て」であるかのように考えてしまうけれど、踏み出してみないとみえないことが沢山ある。考えているだけだったらtanetoも出来ていなかったと思うし、ましてや「メディアって軌道に乗るまで1千万かかるんだよ」なんて、手を出す前に言われていたら諦めていたかも。

よくよく考えてみれば、戦争、飢餓、貧困、気候危機。嘆きたくなるような問題だらけのこの世界で「世界の幸せをカタチにする」ということも、ある種の妄想なのかもしれないけれど。

それでもこうしたスローガンを掲げ、同じ未来を目指す同志が集っている様子を見ていると、応援し合える仲間の存在は何よりも大きな力になると感じます。まずは私も、そんな環境を山梨でも育てていきたいという妄想を膨らませよう…!

あしたじゃない。ずっとをつくる。
サステナビリティ学科

さて、サステナビリティ学科・学科長の白井先生と、県内で行うWSを組み立てています。(こちらはまた決まり次第お知らせしますね!)


今回の先生のお話の中で一番印象に残ったのは、持続可能な社会をつくる鍵は「共創する力」であり、コーディネート出来る人をどう育てるのか?という部分。私も常日頃その重要性を考えていて、それこそtanetoをつくった目的でもあります。

環境問題というと「何をしていいのか分からない」という声を沢山もらいますが、出来ることも解決策も実は沢山あるんですよね。私自身は活動を始めて3年。こんなにも沢山の人が関心を持ち活動していると気づけたことは、続ける上で力になりましたし、仲間ができたことが何よりも大きな変化でした。

県内のリサーチ済みのエシカルな飲食店だけでも、すでにtanemapでは170件を超えるリストに。環境団体は登録されているNPOだけでも180件。任意団体や個人を含めたらもっとありますし、どうやって取材にいってまとめようか頭を抱えているほど…企業や行政の取り組みを合わせると膨大です。

過去の私もそうでしたが、これだけの取り組みがあるのに知らなかったり、そんな人が周りにいないというだけで「だれにも分かってもらえない」と、マイノリティに感じて動き出せないひとの多いこと…。身近な取り組みを知らず、仲間がいないことが何よりも弊害なのではないか?と、選択肢を可視化することの意味を感じて立ち上げたのがこのウェブサイトです。

マイノリティだと感じて出せずにいる小さな声を大きくして、応援し合える環境を作ることは、サステナブルな社会をつくる初めの一歩だと感じています。「人と人、人と自然のつながりを取り戻す」tanetoがそんなHUBになれるように活動していきたい。

ちなみに、サステナビリティ学科のそれぞれのプロジェクトがとても楽しそうでした。来週は有明キャンパスのアーバンパーマカルチャーを体験しにいきます。


たくさんの横文字がある中で
tanetoが「エシカル=倫理」を使うわけ


以前からウェルビーイングの第一人者である前野隆司先生の著書やVoicy、伊藤洋一先生の本も拝読していた私にとって、「この3つが揃っているのは必然なんですよ」という伊藤先生の言葉は、とても納得しているところ。

実際、沢山ボランティアをしてみて思ったのは、もちろんお金が介在しないからこその良さだったり、必要な面もあるけども、自己犠牲になりがちな仕組みであることも実感していて。どんなに社会を良くしたいと思っても、それだけでは生きていけない訳ですよね。かといって、チャレンジしてみているからこそ事業にしていくことの難しさも体験している真っ最中…。

ソーシャルビジネス界隈の人たちと「善意の搾取とは?」という話を最近いろんなシーンでしていましたが
、個人的な結論としては、どこまで無理なく出来るのかって自分にしか分からないし、「ここから先は無理をしている」というのをまずは自分でボーダーを引いて守るしかないのかなと。

「自利利他円満という仏教用語がありますが、起業家は自分の利益重視になりがちだし、環境保護団体の人は利他の方が強すぎて自己犠牲になってバーンアウトしたり。その傾向を偏らないちょうどいいバランスが大事だよって伝えるのが、我々ウェルビーイング学科の役目」という前野先生の言葉を噛み締めてました。

事業としても成り立って自然環境も含めたみんなにとっていい暮らし。人権や環境に配慮していると見せかけるグリーンウォッシュも問題になっている昨今、最後に必要なのは「エシカル=倫理」だなぁと感じています。

 自利利他円満=自分をさしおいて人のためにするのではなく、自分を生かすことが他者を生かすことにつながる。


おわりに

さて、白井先生と組み立てているワークショップは全5回。スタートは7月を予定しています。「この目的設定ってそもそも本当に課題解決に役に立つの?」とか、「活動を広げたいけど、どう広げていいのか分からない」という方に役立つ内容になっているので、地域で環境活動を広げたい皆さんは続報をお見逃しなく…! 

岩崎 舞|@taneto_mai
人生の物語りと哲学、めんどくさくて泥臭いことをこよなく愛する、taneto編集長。欲しいものはSONYのα7Ⅳ。死ぬ前に食べたいのは納豆ごはん。特技はささやき戦法。憧れの起業家はYAMAPの春山さん。

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