Learning by doing  | いのちがめぐる暮らし

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日常に添える一杯|寺崎COFFEE

Learning by doing
実践しながら学ぶ|vol.11

tanetoのテーマの一つは「 – Learning by doing – 実践しながら学ぶこと」。環境問題に取り組みたいと思っても問題が複雑に思えて「何をしていいのか分からない」という声も多いなか、正解のないこの時代に進む道をみつけ、ひと足先に「めぐる暮らし」をはじめているあの人にお話を聞いてみるコーナーです。

今回お話を伺ったのは、寺崎 亮さん


山梨でスペシャリティコーヒーといえばこの方!甲府の街で愛され続けるロースター「寺崎コーヒー」店主。


日常に添える一杯

コーヒーの歴史と文化が移り変わる中で誕生した「スペシャルティコーヒー」という概念。コーヒーを高品質で持続可能なものにするため、品質管理や生産体制の新しいあり方を目指して生まれた言葉です。日本での知名度が低い頃からスペシャルティコーヒーに注力してきた寺崎COFFEE店主の寺崎亮さんに、そのこだわりと一杯に込められた想いを伺いました。


世界を見て出会えたやりたいこと

「スペシャルティコーヒー」とは、単に品質の良い豆を使用することにとどまらず、消費者が流通経路を追跡できるシステムであること。そして、コーヒーの背景として問題となっている児童労働などの搾取をせず、生産者への賃金が保障され、環境にも配慮されているフェアトレードであることが大きな特徴です。

現在と違い、コーヒーの選択肢が少ない2000年代初頭、日本においてまだまだ希少な存在だったコーヒー専門店。そんな時代の中、寺崎COFFEEでは開店当初から、生産者に適正な対価が支払われるルートで流通する生豆を取り扱い、販売することにこだわってきたのだそう。



「大学在学中にイギリスに留学をして、カフェが街と人をつなぐハブ的な役割を果たしていることを知りました。イギリスの街を歩くと至る所にカフェがあり、コーヒーが日常に溶け込むツールの一つになっていて、日本は大きく遅れをとっていると感じたんです」と、今まで抱いていたコーヒーの在り方が覆されたと言います。

また、2007年に東京で開催されたワールドバリスタチャンピオンシップで、コーヒー消費大国の北欧を抑え優勝したイギリス人のプレゼンに目を奪われた寺崎さん。これらの出来事をきっかけに、コーヒーの可能性に魅せられ「豆選びから焙煎まで自ら行うコーヒー専門店の開店」を決意しました。


異国の地から小さな地方都市に届く奇跡

大学進学の縁で偶然辿り着いた甲府の地ではじめたコーヒー専門店でしたが、開店当時の店構えは、地元大阪のタイニーショップを彷彿とさせる小さなもの。DIYで一から店づくりをする中で地域住民の関心も高まり、甲府の地に徐々に溶け込んでいきました。


「低価格で大量消費の時代、目には見えづらいスペックに対価を支払うスペシャルティコーヒーの販売は相反するところがありますが、生産者の多い山梨の土地柄か、品質の高いものに対価を支払うことに抵抗感が少なく、すんなりと受け入れてもらえたように感じました」

スペシャルティコーヒーについて独学で学びを深めつつ、北欧をはじめ生産国に足を運び、コーヒーを扱う者として存在意義や使命感を強めていった寺崎さん。

「コーヒーの歴史は、宗教や政治・経済と深く結びつき、”単なる飲み物”以上の意味を持っていて、文化や社会の一部として発展してきました。個人では語れないほどの大きな循環をしているコーヒーですが、生産者や輸出者・輸入者・運送事業者など、多くの方に支えられ、想いを紡ぎながら甲府のこの小さな店に届きます。本当に奇跡的で、サステナブルを体現しているコンテンツだと感じています」と感慨深げに語ります。


街の一角で今日も変わらず在り続ける

「甲府の街並みは変わりましたが、自分のやりたいことや本質的な想いは変わっていないですね」

2012年の開店以降、自宅を改装した2号店「ロジ」や自然豊かな北杜市の3号店「小淵沢店」へ拡大し、魅せ方やフォームを変えつつも、開店当初の想いである”コーヒーを通して人々の日常に寄り添う店”という役割を貫いてきました。


山梨県内にもコーヒー専門店が増えたものの、日本のスペシャルティコーヒーの消費率はわずか10%ほどであり、気候変動によりコーヒーの生産地が激減すると言われている2050年問題など、コーヒーの課題はいまだ多く存在します。

しかし「店の在り方として難しいことは抜きに、なるべくフラットでありたいですね。こだわりの素材を扱ってはいますが、サプライチェーンの一部に過ぎず、この場所で変わらず美味しいコーヒーを提供することが大事。通り過ぎる日常のワンシーンで、たまたまスペシャルティコーヒーを口にする。そんなシンプルさで構わないと思っています」と寺崎さんは話します。


身近な存在でありながら、持続可能なコーヒー産業の実現に尽力する寺崎COFFEE。その姿は、肩肘を張らずに自然と環境問題に対峙するニューノーマルのよう…まずは上質な一杯を味わってみてはいかがでしょうか。

寺崎COFFEE

⚫︎甲府店|〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1丁目20−22 MAP
Instagram @terasakicoffee 
⚫︎ロジ|〒400-0032 山梨県甲府市中央4丁目3−26 MAP
Instagram @rojiuranoroj 
⚫︎小淵沢店|〒408-0044 山梨県北杜市小淵沢町10184MAP
Instagram @terasakicoffee_kobuchisawa
代表TEL 055-233-5055
HP http://terasakicoffee.com/
営業時間:平日7時30分~18時00
土・日曜日9時00分~17時00分
定休日:各店インスタグラムでお知らせ

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